【日本語の文法・例文】〜わけにはいかない|日本の言葉と文化
「~でしょう」の基本的用法は、推量、つまり自分も相手も確かでないことを確信のないまま言う用法と、文末を上昇調にする確認の用法でした。確認には二つあって、相手のほうがよく知っていそうなことの真偽を確かめる場合と、自分が知っていることを相手も知っているかどうか確かめる場合があります。 彼も来るでしょう? (聞き手が知っていると考えて) この前教えたでしょう? ~わけではない(wake dewa nai)【JLPT N3 Grammar】 | 日本語の例文. (話し手はよく覚えている) 後の例は「~よね」で言えますが、「~でしょう」のほうがかえって強い感じがします。「どうしてまちがえたの?」という非難が含まれることもあります。 この前教えたよね? それは、「~よね」に主張の意味があっても、その事柄が事実であるかどうかについての主張(+確認)ですから、逆に言えば、そうでないという可能性を残しているからです。それに対して、この用法の「~でしょう?」は事実については問題とせず、それを聞き手が知っているかどうかを確かめているだけです。 「~(ん)じゃないか」にも確認の用法がありました。 この前教えたじゃないか。 は「~でしょう」と同じで、事実の確認ではなく、覚えているかどうかの確認です。さらに強い非難の気持が出ています。 これはあなたのかばんじゃありませんか?
~わけではない(Wake Dewa Nai)【Jlpt N3 Grammar】 | 日本語の例文
(焦点:この引き出し) 特に、普通体では、焦点が述語以外の要素にある場合、「の」を使わないと不自然に感じることがあります。 鍵はこの引き出しにあった(か)? このケーキは駅前の店で買った(か)? ?君の子どもはこっちで生まれた(か)? 文脈やイントネーションにもよりますが、「の」を使ったほうが自然でしょう。 このケーキは駅前の店で買ったの(か)? 君の子どもはこっちで生まれたのか? もちろん、「の」を使う疑問文は、「状況説明」の場合にも使われます。 おや、風邪をひいたんですか? (マスクをしているのを見て) 「風邪をひいた」以外の所に焦点があるわけではありません。「マスクをしている」という状況に対して説明を求めているわけです。 ご飯、食べたくないの? 行くんですか? 疑問語を使った疑問文というのは、その述語は前提になっているので、「のか」がよく使われます。 いつ始まるんですか。 どこに行くのですか。 誰がそう言ったの? 「どこに行きますか」という質問は、「どこかに行く」ことを前提にしています。同様に、他の疑問語疑問文もすべて対応する「~か」の不定語を使って次のようにその前提を表せます。 何があるか → 何かがある いつ始まるか → いつか始まる 誰が来るか → 誰か来る どの本を読むか → どれかの本を読む どうするか → どうにかする したがって、述語の部分自体は質問の焦点からはずれ、まさに疑問語の部分が焦点になります。そこで、「のか」が使われたほうが自然になります。 42. 5 確認の表現 疑問文と近いものに確認の表現があります。疑問(質問)と確認は、返答を要求するという点で共通します。確認の表現としてはすでに終助詞の「ね」と、推量の「~でしょう」、それに「~(ん)じゃないか」の用法としてとりあげました。ここでまとめて復習しておきます。 「ね」は大きく言って同意と確認の用法がありました。自分が思っていることを相手も同じように思ってほしい場合と、自分が思っていることに自信がなくて、相手に確かめる場合と。 暑いですね(え)。 これはあなたのですね? この例は「~でしょう?」でも言えます。「ですね」のほうがそのことに自信を持っているようです。ただし、「でしょう」には、はっきり言わずに表現を和らげるという効果もありますから、必ずしも確信度が低いわけでもありません。 これはあなたのでしょう?
文法 2019. 05. 30 2015. 06.