人のセックスを笑うな の 結構ネタバレ感想。: Natural Wave
ぺちゃんこだった空気マットが、ふくらみきるまで、 途中ふたりがじゃれあいながらまたしぼんだりするのも見ながら、最後までカット割りしないでシーンがつづく。 およそ非効率的なシーンだ。 でも井口奈己監督は、恋愛の息吹を、一呼吸もはぶくことなく、そのままパッケージ化してみせる。 ここには物語に回収されない、恋愛そのものがある。ぱんぱんに膨らんだ、でもいつか萎れてしまうだろう空気マットを、せっせと、笑いながらふたりでつくる様子を追いかけることは、恋敵が出てきて刺したり刺されたり自殺したり妊娠したりするプロット過剰な恋愛物語よりも、よっぽど恋愛のリアルをつかまえている。 この、じっと見据える眼差しがひときわ輝くもうひとつのシーンがあって それは物語の終盤ちかく、 蒼井と松山が、一方通行なそれぞれの想いを とりあえずはき出したあとの放心状態のあと 「じゃあ、行こうか」 と、バイクに二人乗りで走るシーン。 助走をつけるみたいに、駅のロータリーで バイクがなんどもぐるぐる回っている様子を 俯瞰のカメラが、捉えている。 バイクが同じコースを ぐるぐる ぐるぐるする様子を、飽くことなく固定したアングルで見せ続けるこのシーンは ふたりの再出発の呼吸を、物語にたよらないで見せきる。 公式サイト 『犬猫』につづいて、ロケハンのセンスは最高。
「苦笑」と「苦笑い」の違いとは?分かりやすく解釈 | 意味解説辞典
■ anond:20201012014337 解釈 違いを笑う人は、 自分 が見てる 作品 がどんな もの なのか、 自分 が ネット で 感想 や 解釈 や 二次創作 を発信する度にどうなるのか、よく考えてほしい。 そしてすべての オタク は、改めて 原作 に向き直って、 自分 の 解釈 が、読解が、これで本当に正しいのかどうかを考え続けてほしい。 申し訳 ないがうるせー。発 信者 なりに考えた結果「これがいい」と思ってたらどうすんのさ。それで納得するならこんなところに書かないよな。 それとも「私の考えの方が優れている」とか言っ ちゃう タイプ ?だったら正直に「私の 解釈 が人気になってほしい」って書いておけ。 大体 元増田 のみならず、 二次創作 に正しさ持ち込む考えが気に入らない。そんなに正しくありたきゃ 公式 側の 人間 になれよ。
けっこう面白い? それとも ┐( ̄ヘ ̄)┌…ですか? まあ、ストーリーだけ見れば、 別に新しくはないわけで、要するに 20歳前後の若者が年増の人妻と 恋愛し、結局は別れる(見ように よっては"もてあそばれた"だけ) という、昔からよくあるお話。 なので「あらすじ」だけたどれば、 なにコレ、なんてことないじゃん… ということになるかもしれません。 それがなぜ高い評価を受けたのか といえば、《その古いストーリーに 新しい装いを与える》ことに見事に 成功しているから…ということに なるでしょう。 その《新しい装い》はいろいろと 指摘することができるでしょうが、 私個人に強く訴えたもの4つばかり 挙げておくと、こんなところです。 女性作家が「オレ」という 男性の視点人物を設定したこと による語り(文体)の新鮮さ。 ユリは美女ではないし、 容姿はオレの"タイプ"から 遠いこと。 "間男"猪熊さんの 人間的な力を背景に にじませたこと。 ユリからオレへの プレゼントに力(意味)を もたせたこと。 ん? どういうことかわからない? それではこの3点について、以下で 少しづつ解説させてもらいます。 1. トランスジェンダー的な語り 女性作家が男性視点をとるという トランスジェンダー(性転換)的な 語りの新味は文庫本(上記)の「解説」で 高橋源一郎さんも力説されたところです。 たとえば「女生徒」や『斜陽』で太宰治が 試みた《女語り》の裏返しなわけで、 これによって、非常に新鮮なムードと 洞察を小説に持ち込むことに成功 しているといえそうです。 👉 太宰の「女生徒」『斜陽』、 それから文学における トランスジェンダーの 問題については、こちらも ご参照いただけると ありがたいです。 ・ 太宰治 女生徒のあらすじと考察 👩女はいやだ…曲折する意識を読む ・ 斜陽(太宰治)のあらすじと感想☀簡単/詳しくの2段階で解説 ・ 寺山修司 毛皮のマリーのあらすじ:LGBTの世界的傑作を解説 2. 好きになると、形に心が食い込む 古今東西、物語の世界においては、 女主人公(男に愛される女)は美しい ものと相場が決まっていたわけで、 この常識が崩されたのは比較的 新しいことなんですね。 日本だと、夏目漱石『明暗』のお延 あたりが突破口だろうと思うんですが、 ともかくナオコーラさんのこの小説でも この反転が試みられ、それが一つの すぐれた洞察を生んでもいます。 たとえばオレは「昔の加賀まりこの ような、黒猫みたいな」かわいい 女の子が好きだと思っていたのだが、 「ユリはまったくそんな顔はしていない」。 目は一重で、顔は丸顔。 薄い唇はいつもカサカサ。 体には肉が付きすぎている。 しかし恋してみると、 形に好みなどないことがわかる。 好きになると、その形に 心が食い込む。 そこにある形にオレの 心が食い込むのだ。 あのゆがみ具合がたまらない。 忘れられない。 これですね。 わかる人にはわかる、恋愛の実相を 見事に表現した文章ではない でしょうか。 👉 恋愛の実相を見事に 描き出した文豪、夏目漱石に ついては、たとえばこちらの 記事をご参照いただけると 幸いです。 ・ 漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.